ゼロの相棒《番外編》
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次の日。
俺は一人で願いの町を歩く。
塔から数十分歩いた辺りで、懐かしいカフェが、目の前に現れた。
深呼吸をして
カラン、とカフェの扉を開ける。
「いらっしゃい………」
中に入ると、カウンターから俺の姿を見たロイが、言葉を途切らせた。
俺は、コツコツと、カウンターへと近づいていく。
ロイは、苦笑しながら俺に言った。
「生きてるとは昨日知ったけど…まだ慣れないな。
驚いて、一瞬言葉を失っちまった。」
ロイの言葉に、俺は「そうだよな…。」
と呟いて、改めてロイに今まで連絡しなかったことを謝った。
ロイは、「生きていたならそれが一番だよ。」と、微笑む。
ロイは、カウンターに座った俺に、静かにコーヒーの入ったカップを差し出した。
俺はそれを飲みながら、ロイに、真剣な顔で尋ねた。
「ロイ……聞きたいことがあるんだ。
六年前のあの日。俺、カフェに“小さな箱”を置いて行ったりしなかったか?」