ゼロの相棒《番外編》
俺の言葉に、ロイは「箱…?」と、首を傾げる。
そして、うーん、と顎に手をやりながら答えた。
「そんなものは見てないけど…。
何なんだ?その“小さな箱”って?」
俺は、指輪を渡して告白しようとしていたことから、事故に巻き込まれてその指輪の行方が分からなくなってしまった経緯を、すべてロイに話した。
ロイは、驚いた顔をして口を開く。
「……そんな大事なもんを無くしたのか?
本当、しっかりしているようでどこか抜けてるよな、お前。」
ロイの言葉に、軽く傷つく。
確かに、指輪を無くして、ずっと六年間その記憶を封じ込めていたことはいけなかったと思う。
この六年間は、なるべくカトレアのことは思い出さないようにしていた。
…もちろん、あの日のことも。
連絡がつかなくて、すっかり振られたと思い込んでた俺は、自分でも女々しいと思うけど、結構心に深い傷を負っていた。
…結局約束も守りきれなくて、すっぽかした俺がカッコ悪すぎて、自分でもあの日のことは黒歴史だと思っている。
だからつい、カトレアに関することを記憶の隅へと追いやってしまっていたんだ。