ゼロの相棒《番外編》
そこからは、誰も、何も答えなかった。
ただ、静かに、時計の針が動く音だけが
カフェの中に響いていた。
長い沈黙の後、カトレアは、少しかすれた声で呟いた。
「…彼に…ブラッドさんに…
会い…たいです………………!」
彼女は、涙を拭いながら、俺を見た。
その瞳には、怒りや、悲しみなど一切なく。
ただ。
小さな希望にすがるような色を宿していた。
俺は、はぁ…と、息を吐く。
そして、カトレアの方を見て言った。
「…あいつなら、今この町にいますよ。
ついさっきまで、このカフェにいました。」
「!」
それを聞いて、カトレアは驚いた顔で、息を呑んだ。
ドロシーも、俺の方を見ている。
「…ブラッドさんは、今どこに?」
カトレアの問いかけに、俺は窓の外を見ながら答えた。
「あいつは、今、六年前のあの遺跡に行っています。……少し訳がありまして。」