ゼロの相棒《番外編》
「な……なんで………。」
俺は、まだ目の前の現実を受け止めきれないまま、ぼそ、と呟いた。
すると彼女は、ぽろぽろ、と涙をこぼし始めた。
次から次へと、頬に涙が伝っていく。
俺は、ゆっくりと、彼女の元へと近寄って行った。
その足は、だんだんと速くなっていく。
そして、俺は彼女の前に立った。
動揺を隠せないまま、俺は尋ねる。
「カトレア……君は、遺跡の中に居たんじゃなかったのか?
…俺を呼ぶ声が聞こえた気がしたんだが……。」
あの崩れ落ちる迷宮の中から、瞬間移動魔法なしで簡単に抜け出せるはずがない。
するとカトレアは、俺の方を見ながら掠れる声で言った。
「私は、遺跡の中には入ってないんです。」
え?
どういうことだ?
あの時、俺は確かに、彼女の声を聞いたはずだ。