ゼロの相棒《番外編》


「……カトレア……?」



おろおろして、彼女を見ると

カトレアは、泣きながら優しく微笑んで
言った。



「……やっと聞けた……。

………嬉しい……」






その時、俺は、すくっ、と立ち上がった。


何だか、居ても立っても居られなくなって

体がふわふわして、飛んで行っちまいそうで。


………何だ?この気持ちは……。


すると、立った拍子に、俺のポケットから“ある物”が飛び出して、床に落ちた。



「…?何ですか?これ………。」



カトレアが、その物体を目にする。


それは、俺がカトレアにあげるつもりだった、血で赤く染みが付いてしまった指輪の箱だった。



「あっ?!それは!」



俺が止めるより早く、カトレアはベッドから降りて、箱を拾いあげる。


頭を抱える俺をよそに、カトレアはその小さな箱を開けた。


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