ゼロの相棒《番外編》
「……わ……。かわいい……。」
中で、光る小さな宝石がついた、銀色の指輪が輝いている。
あぁー、もうこうなったら、サプライズのつもりだったけど、言ってやる!
俺は、指輪を見つめながら言う。
「………それ、六年前に、カトレアに渡そうと思ってたんだけど
俺の血で汚れちまっただろ?
……新しいのにするから、貰ってくれないか?」
すると、カトレアは、また少し涙を溢して、頷いた。
「……これがいい。
ブラッドさん…これをください……!」
「え?な…何でだ?
血が付いてるのなんて、嫌だろ?」
カトレアは、俺の言葉を聞いて、首を横に振った。
「…これが、六年前にくれようとした指輪なんでしょう?
それに…ブラッドさんが、怪我してまで私を助けようとしてくれた、今日の大切な思い出がこもってますから。」
“私は、これがいいんです…!”
そう言って笑ったカトレアは、俺が今まで見てきた中で、一番綺麗に見えた。
次の瞬間、無意識のうちに、俺はカトレアを抱き寄せていた。
カツン…、と、カトレアが手にしていた指輪の箱が落ちる。