ゼロの相棒《番外編》
少年ゼロは、ここまでしなかったのに。
だんだん、私へのからかいがエスカレートしてるような…。
「ねぇ、ゼロ。」
「ん?」
「今度は朔の日だけ少年に戻ったりとかはしないよね…?」
「するわけねぇだろ。」
ゼロは、少しムッとしながら答えた。
……ですよね。
すると、ゼロは私を抱きしめたまま言う。
「フィオネは、この姿の俺より、ガキの姿の俺の方が好きなわけ?」
どきん、と胸が鳴った。
そうじゃないけど……。
「今の姿のゼロは、何だか緊張しちゃうから…困る。」
私は、自分でもよくわからないこの感情を、ゼロに伝えた。
すると、彼は少し驚いて、それから嬉しそうにささやいた。
「フィオネ、俺のこと意識してくれてんだ?」
「あ…当たり前でしょ……?」
“意識”か……。
恋愛に疎かった私だけど、ゼロを好きだと気づいた頃から、恋のことを少しずつ分かってきたような気がする。
ゼロは、優しく微笑んで私を見下ろした。
「少年の姿の時は意識もされてなかったよな。迫っても流されたし。
………今まで俺は我慢してたんだからな。
覚悟しとけよ。」
えっ?!
か……覚悟って言われても!