ゼロの相棒《番外編》
ゼロは、ふっ、と笑うと
私から離れて再び夕食の準備を始めた。
なんなのよ……。
私だけ振り回されちゃって。
なんかくやしい……。
でも、ゼロは決して“抱きしめる”以上のことはしてこない。
“キス”も、ゼロが元に戻れた日の花畑以来していない。
……そこは優しい、というか…大事にされてる、というか……。
あぁ、ダメだ!
一人で考えてたらまた変に緊張してきちゃう。
私が、ふぅ、と胸のドキドキを抑え、夕食の準備を手伝い始めた時
ふいにゼロが言った。
「そうだ、フィオネ。
……俺、都市に行く前に“行きたいところ”があるんだ。」
え………?
「“行きたいところ”?」
私は、手を止めて、ゼロの方を見た。
ゼロは、いつものポーカーフェイスで答える。
「今までずっと考えてたんだけどさ、やっぱり都市に行く前に寄ったほうがいいと思って。」
……一体どこに行くつもり?
ゼロの“行きたいところ”には、悪い思い出しかない。
まぁ、もう相棒解消、とかにはならないと思うけど……。