ゼロの相棒《番外編》
ゼロも、私の心中を察したのか、「心配すんな。……変なとこじゃねぇよ。」と笑う。
「そこは、ここから歩くとすれば、半年はかかるから
この近くの“華の町”に住んでる俺の古い知り合いの力を借りていこう。」
そんなに遠いところなの?!
ゼロが言うには、近くの土地ではないと瞬間移動魔法は使えないらしい。
……国の王ともなれば、どこへだって行けるらしいんだけど。
……ということは、これからは“華の町”を目指して旅をするってこと?
「ここから華の町までは、あと三日もすれば着くから。」
そうなんだ…。
華の町は都市の南にあるらしい。
まだ行ったことのない町って、何だかワクワクするな…。
私は、ゼロの“行きたいところ”にも興味があったが、それ以上に華の町にも胸を躍らせていた。
……私がゼロと一緒に世界を回る旅に出れるなんて、夢にも思わなかったな…。
私は、ゼロの方を見上げた。
彼はせっせと、缶詰の食材や調味料を用意している。
私は、そんなゼロの肩に、とっ、と寄りかかった。
「!………フィオネ…?」
私を見るゼロに、にこ、と微笑んで答える。
「……ゼロ。
…私を連れてきてくれて、ありがとね…。」
私の言葉に、ゼロは珍しく照れた様子で
「ん……。」と小さく答えた。
空に昇った月が、優しく私たちの上で輝いていた。