ゼロの相棒《番外編》
私が、少しの疑いの眼差しを向けていると、ゼロは、「あのなぁ!」と言って私の手を取った。
そして、ぎゅっ、と手を握りながら言う。
「俺は女ならフィオネにしか興味ねぇんだから、変なこと気にすんじゃねぇっ!」
!
つい、顔がかぁっ!と赤くなる。
ゼロも、咄嗟に出てしまった言葉だったようで、珍しく照れて、こちらを見ようとしない。
…………。
……なんだ……そっか。
私は、思いがけないゼロの言葉に
胸がいっぱいになった。
………青年の姿になっても
ゼロは、やっぱりゼロだね。
私は、ふふ、と笑ってゼロの隣に並ぶ。
ゼロは、少し頬を赤くしながら華の町を進んでいく。
……と、ゼロがある一軒の店の前で立ち止まった。
「…ここだ。」
ゼロが立ち止まった店は、華の町で一番屋根が高い店だった。
豪華な装飾が施された建物が、きらびやかに私たちの前で存在感を放っている。