ゼロの相棒《番外編》
「…ここに、ゼロの知り合いがいるの?」
私が尋ねると、ゼロが頷いて答えた。
「あぁ。“アサギ”っていうんだ。」
“アサギ”さん…か。
するとゼロは、ぱっ、と手を離して
躊躇なく店の中に入っていく。
え。
そ…そんなあっさり。
なんか緊張する。
私がためらっていると、ゼロが店の中から叫ぶ。
「フィオネ、何やってんだ?早く来い!」
私は、ごくっ、と喉を鳴らして
店に一歩足を踏み込んだ。
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店の中は、いろんな人の笑い声や、琴のような音が響いていた。
すたすた、と進むゼロに、私はそっと尋ねる。
「ゼロは前にも来たことあるの?」
すると、ゼロは「あぁ。」と返事をして
続けた。
「昔、ゴリーに連れられてジンと来てたんだよ。
……言っとくけど、普通に遊んでただけだぞ?」
……ふーん。
ジンと来てたんだ。
確かに、ゴリーさんは、“俺はゼロの悪友”とかって言ってたよね。