ゼロの相棒《番外編》





「…ここに、ゼロの知り合いがいるの?」




私が尋ねると、ゼロが頷いて答えた。





「あぁ。“アサギ”っていうんだ。」






“アサギ”さん…か。





するとゼロは、ぱっ、と手を離して
躊躇なく店の中に入っていく。




え。



そ…そんなあっさり。





なんか緊張する。





私がためらっていると、ゼロが店の中から叫ぶ。




「フィオネ、何やってんだ?早く来い!」




私は、ごくっ、と喉を鳴らして
店に一歩足を踏み込んだ。






****





店の中は、いろんな人の笑い声や、琴のような音が響いていた。




すたすた、と進むゼロに、私はそっと尋ねる。





「ゼロは前にも来たことあるの?」




すると、ゼロは「あぁ。」と返事をして
続けた。




「昔、ゴリーに連れられてジンと来てたんだよ。


……言っとくけど、普通に遊んでただけだぞ?」




……ふーん。




ジンと来てたんだ。




確かに、ゴリーさんは、“俺はゼロの悪友”とかって言ってたよね。




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