ゼロの相棒《番外編》
その時、オーガがフィオネを抱きかかえ、パァ、と瞳を輝かせた。
その瞬間、オーガの横に異空間が現れる。
…!
異空間を経由して、逃げる気なのか?!
そうか…!
異空間を使っての移動を繰り返していたから、アサギはオーガの居場所を特定することが出来なかったんだ。
「…っ……待て……オーガ……!!」
俺は、オーガを睨みつけながら声を絞り出す
すると、オーガは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、口を開いた。
「安心しろ、町の外には連れ出さん。
………ここは“俺の町”だからな。好き勝手させてもらうよ。」
オーガは、そう言ってフィオネを連れ去る。
ゴリーも、ホノも、悔しそうな表情でオーガの消えていった異空間を見つめている。
……くそ………
くそ…………………!
「………フィ…オ…ネ…!」
部屋には嵐の過ぎ去ったような静けさが漂い
俺の声は、闇に消えていったフィオネには、届かなかった。
《ゼロside終》