ゼロの相棒《番外編》
遠ざかっていた小さな背中が、ぴたり、と止まる。
そして、ゆっくりと後ろを振り返った。
「…………フィオネ……………?」
!
私は、その声に、ふっ、と顔を上げた。
ゼロは、まっすぐ私の方を見ている。
視線は合っていないが、確かに、私のいる方を向いている。
私は、それを見て立ち上がった。
「ゼロ!!ここよ!!私はここにいる!」
お腹の底から声を出して、必死に彼の名前を呼ぶ。
「ゼロ!ゼロ!!」
ゼロは、その声に応えるようにして、ゆっくりと私に向かって歩いてくる。
「フィオネ、どこだ………!
そこに…いるのか………?」
ゼロが、きょろきょろ、と辺りを見回す。
私は、彼に向かって走り出した。
ゼロ……
ゼロ…………!
私はここだよ
ここに、いるよ………!
「ゼロ………っ!」
私は、彼に駆け寄ると、ぎゅう、とゼロを抱きしめる。
感覚はなくても
さっきよりも強く、強く。
触れた先から、想いが少しでも伝わればいいと、そう思った。