ゼロの相棒《番外編》







私がそう呟くと、ゼロは私を抱きしめる腕に更に力を入れた。





ゼロの手は、微かに震えていた。








「………離れんなよ………




離れんなよ、フィオネ………!」








少し震える、弱々しい声に、私は瞳から涙が溢れた。








私が、ゼロの隣にいること、




今、ゼロの相棒で居られることは、
決して“当たり前”なんかじゃない。






私が今、生きてることが




夢みたいだってこと


奇跡だってこと






それを一番わかっているのは、

“ゼロ”だ。






大切な人がいなくなる悲しみを一番知っているのは、彼だ。







もう、決して“孤独”には戻れない。






私たちは、もう、お互いなしでは生きられなくなってしまったの。







「ごめんなさい……ゼロ…。」







私がそう呟いた時、廊下が、ギシ、と音を立てた。









「ま……まさか……。




俺の魔法を自力で解くなんて………!」









< 321 / 357 >

この作品をシェア

pagetop