ゼロの相棒《番外編》
私がそう呟くと、ゼロは私を抱きしめる腕に更に力を入れた。
ゼロの手は、微かに震えていた。
「………離れんなよ………
離れんなよ、フィオネ………!」
少し震える、弱々しい声に、私は瞳から涙が溢れた。
私が、ゼロの隣にいること、
今、ゼロの相棒で居られることは、
決して“当たり前”なんかじゃない。
私が今、生きてることが
夢みたいだってこと
奇跡だってこと
それを一番わかっているのは、
“ゼロ”だ。
大切な人がいなくなる悲しみを一番知っているのは、彼だ。
もう、決して“孤独”には戻れない。
私たちは、もう、お互いなしでは生きられなくなってしまったの。
「ごめんなさい……ゼロ…。」
私がそう呟いた時、廊下が、ギシ、と音を立てた。
「ま……まさか……。
俺の魔法を自力で解くなんて………!」