ゼロの相棒《番外編》
その時、アサギが私をきつく抱きしめた。
その瞬間、私の思考が停止する。
世界が一気に無音になって、アサギの声しか耳に入らない。
「…ホノはもう、俺の一番近くにいる“宝物”だよ。
…………大切だよ……。」
私は、自然に涙を流していた。
やっと、やっと。
あなたに追いついたんですね。
やっと隣に並べたんですね。
その時、廊下から話し声が聞こえてきた。
二つの足音は、だんだんとこちらに近づいてくる。
…!
ゼロとフィオネさんが来たんだ。
二人の声は、襖の向こうから聞こえてくる。
その時、私は、はっ、と気がついた。
暗がりでアサギと抱き合っている、という状況を、一瞬で理解する。
「あ……アサギ様。
ゼロ達が来ます…!」
こんな場面を見られたら恥ずかしい。
は…早く離れないと。
少し慌ててそう言うと、アサギは、ふっ、と微笑んだ。
そして、ぐっ、と私の腕を引く。
と、次の瞬間
アサギは私の頬に口付けた。
「っ!!!!」
い……今、何が……!
一気に体じゅうの体温が上がる。
その時、襖を叩く音が響いた。
《ホノside終》