ゼロの相棒《番外編》
私は、それを聞いて、ゼロの指差す方向に目を向ける。
「……!……あ……あそこって……!」
私は、目の前の景色に言葉を失った。
ゼロの“行きたいところ”は、どんなところなのか、想像も出来なかったけど
そこは、私のよく知っている“大切な場所”だった。
森に囲まれた、小高い丘。
そこに建つ、一軒の家。
丘の眼下に広がる“町”。
「さ、着いたぞ。“はじまりの地”に。」
そこは、私とゼロが出会った、私の故郷
“闇町”だった。
ゼロは、不死鳥を丘の上に着地させると、
トッ、と地面に飛び降りた。
そして、私に向かって手を広げる。
「ん。受け止めるから、来い。」
!
私は、少し体を緊張させて、こくん、と頷くと、ゼロの腕に向かって飛び込んだ。
力強い腕が私を支える。
「…っと……。…相変わらず軽いな。」
この姿だと、少年の姿の時よりそう思う、とゼロが笑った。
私は、地面に足をつけると、なんとも言えない思いが胸に込み上げてきた。
ジェノバの家を見ると、ふいに涙が出そうになる。