ゼロの相棒《番外編》
ゼロが、私の髪を撫でて、ささやいた。
「………フィオネの髪って綺麗だよな。」
とくん、と胸が鳴る。
それは、以前にテントの中で言われた言葉と一緒だった。
ゼロの言葉に、耳を傾ける。
「昼間も太陽に反射して綺麗だけど、夜の月明かりの方が俺は好きだな。」
私は、ふふ、と笑ってゼロに言った。
「…それ、都市に着く前も言ってたよ。」
「そうだっけ…?」
微笑んで答えるゼロに、私は、彼の黄金の髪の毛を撫でて言う。
「…ゼロの髪も、綺麗だよ。
…まるで夜空に輝く月みたい。」
すると、ゼロは少し照れたように私から目を逸らした。
私は、そんなゼロを見てゆっくり口を開く。
「ゼロ。明日、またここから始まるんだね。
私たちの旅が。」
その言葉に、ゼロは、ふっ、と微笑んだ。
「あぁ。
……ここが、すべての“はじまりの地”だ。」
私は、少し泣きそうな気持ちを抑えて
ゼロをまっすぐ見つめる。
「……世界を見に行こうね。ゼロ。」
ゼロは、それを聞いて、私をゆっくりと抱きしめた。
「あぁ。……“二人”でな。」
ゼロの唇が、私の唇を塞いだ。
それは、今までで一番優しく、甘いキスだった。