お嬢様の秘密III
1章
猫
-ユリside-
卒業式も無事に終わり、学園は春休みに入った。
葵は仕事が忙しいらしく、すぐに帰省した。
「あの高澤君ならユリと離れたくなさそうだし、何が何でも学園に残ると思っていたわ。」
春休み初日。
今日は誠一郎お祖父様に呼び出され、本家へ向かっていた。
なぜか夏菜も一緒に。
玲央は私の執事として同行。
「でも葵なら会いたくなったら私を呼び出すんじゃない?出会った頃メールで来いって呼び出されていたし。」
もうなんか昔に感じてしまう。
あの頃はイヤイヤ会いに行っていたよね、私。
今思えば理央は上手く立ち回って誰にも鉢合わせないように葵の元へ誘導してくれていたな……。
「でもね、1日1回は声聞きたいなと思って迷惑じゃない時間に電話したんだけど繋がらないんだ。」
「え?あの高澤君が!?………それは不思議かも。」
夏菜の右眉がピクリと動いた。
「ユリ、夏菜。そろそろ着くぞ。」
「玲央、話し方には気をつけなさい。」
「分かっております、お祖父様。」
助手席に座っている玲央が運転している広大さんに怒られている。
「でもなんか玲央も執事らしくなったよね。そう思わない?」
「うん、思うかも。夏菜に告白できずにウジウジしていたヘタレな男の子はどこに行ったんだろうね?」
「おい、ユリ!それは………。」
「え?そうだったの?可愛いところあるじゃない!」
またタメ口になった玲央を広大さんは咎めていないから、少しは許してくれたのかな。
だよね、ミラー越しに口元が緩んでいるのが見えてしまったから。
卒業式も無事に終わり、学園は春休みに入った。
葵は仕事が忙しいらしく、すぐに帰省した。
「あの高澤君ならユリと離れたくなさそうだし、何が何でも学園に残ると思っていたわ。」
春休み初日。
今日は誠一郎お祖父様に呼び出され、本家へ向かっていた。
なぜか夏菜も一緒に。
玲央は私の執事として同行。
「でも葵なら会いたくなったら私を呼び出すんじゃない?出会った頃メールで来いって呼び出されていたし。」
もうなんか昔に感じてしまう。
あの頃はイヤイヤ会いに行っていたよね、私。
今思えば理央は上手く立ち回って誰にも鉢合わせないように葵の元へ誘導してくれていたな……。
「でもね、1日1回は声聞きたいなと思って迷惑じゃない時間に電話したんだけど繋がらないんだ。」
「え?あの高澤君が!?………それは不思議かも。」
夏菜の右眉がピクリと動いた。
「ユリ、夏菜。そろそろ着くぞ。」
「玲央、話し方には気をつけなさい。」
「分かっております、お祖父様。」
助手席に座っている玲央が運転している広大さんに怒られている。
「でもなんか玲央も執事らしくなったよね。そう思わない?」
「うん、思うかも。夏菜に告白できずにウジウジしていたヘタレな男の子はどこに行ったんだろうね?」
「おい、ユリ!それは………。」
「え?そうだったの?可愛いところあるじゃない!」
またタメ口になった玲央を広大さんは咎めていないから、少しは許してくれたのかな。
だよね、ミラー越しに口元が緩んでいるのが見えてしまったから。