お嬢様の秘密III
壁際の開いているテーブルを見つけて、取った料理を頂くことにした。


………うん、美味しい!


匂いも汚れも厳禁だから、スープとサラダしか食べれないけど。


「夏菜様でしょうか?」


なるべく丁寧に食事していると、2人の女の子が私に近づいてきた。


「はい………美穂さんと、理穂さんですね?ご無沙汰しております。」


主催者の娘らしく、上品で華やかに着こなしたドレスはよく似合っている。


「先日の件は本当に申し訳ございませんでした。」


美穂さんが深々と頭を下げているから、壁際なのに注目されちゃっている。


「美穂さん、主催者様がそんな謝っては悪い噂が立ちかねませんわ。それに私も優莉も気にしておりませんわ。」


やっと顔を上げてくれた………。


「心がお広くて………。私たちはこれからは秋本様ご関係者に忠実にお仕えいたします。」


「………では見極めさせていただきます。私の大事な親友ご一家ですから。

フィルターは厚い方があなた達も宜しいんじゃないかしら?」


「そうですわね。簡単に許されることではございませんし、真理亜様には理穂の面倒を見てもらっていますけど。」


美穂さんの後ろにいる理穂さんは軽くお辞儀した。


「では、私たちは挨拶回りを続けさせていただきます。本日はお越しくださってありがとうございます。」


お二人は忙しそうに他のテーブルに移っていった。


さあ………私もそろそろ行かなきゃ。
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