お嬢様の秘密III
絶対に挨拶しなきゃいけない人を先に回り、あとは主催者様だけとなった。


昔からお世話になっている方々は私のことはご存知で、とてもお話ししやすい方だった。


じゃあ……主催者様に挨拶して玲央を探そうかな。


親もお兄様ももう少しで来るって連絡入ったし。


何より1人でパーティーに参加したのってよく考えたら初めてだから疲れちゃったし。





「あなた、ちょっと良いかしら?」


…………うわ、定番。


安田さんご夫妻のテーブルへ向かおうとした時に正面にずらっと女の子が並ぶ。


「はい。何でございましょうか?」


令嬢らしく何も知らないふりをして顔を傾げると、般若のように顔を怒らせる女の子達。


「あなた、私たちに先に挨拶しないで何様のつもり?それにあなた、玲央様とどういう関係なの?」


………何でこの人たちに先に挨拶しなきゃいけないんだ。


今いる場所は壁際だから良いけど、真ん中だったらこんなことしないよね?


「玲央とは幼馴染ですわ。それに………あなた達のことはご存知ありませんの。

我が家の関係者から先にご挨拶を申し上げるように言いつけられておりましたので、挨拶しなかったのですわ。」


追い詰められているふりをしてゆっくりと真ん中へ向かう。


存じないと言った瞬間、私に近くにあった水をかけようとした。


すぐに避けたから一滴もかかってないけど。


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