お嬢様の秘密III
「ほう………。よくお前らみたいな成り上がり者が夏菜を庶民呼ばわりできたな?」


反論をしようとしたみたいだけど、玲央はそんな時間を与えない。


私をきつく睨むことしか出来ないみたい。


玲央に取り入るつもりがこんな結果になるなんて思わなかったんだろうね。


……甘く見ないでよ。


「5本の指に入るご令嬢を蔑むとはよっぽどお前らは暇なのか?」


「ち、違うわ!その子が私たちに喧嘩売ってきて、権力を見せつけているのよ?」


………え?


「玲央様に取り入るためでしょ?泣きついているじゃない!!」


私泣いてる?


そっと目に手をやったけど、涙のあとすらない。





「お前ら、良い加減にしろよ……!」


女の子たちの後ろからやはり聞き覚えのある声が。


「監視カメラにバッチリ映っていてよくそんな見え透いた嘘を付けたもんだな。」


お兄様!?


私の顔は知らなくてもお兄様の顔はよくご存知のようだ。


これで自分たちが何をしたのかようやく気付いたらしい。


「………明日からお前らは一切事務所と契約出来ないからな。化けの皮は外すもんじゃねえよ。」


いつ来たの、お兄様………。


お兄様の冷酷な視線に当てられて、女の子達はみんな慌てて逃げていった。
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