お嬢様の秘密III
「私を招待してくれたのは光栄ですが、招待客をもっと選べないものですか?」


「その件は大変申し訳ございません。こちらも予測しなかった事態でして………。」


そのしょげたふり……やめて。


「そうですか。あと1つ安田様に親からの伝言をお伝えいたしましょう。」


今日はこれを言うために来たのよ、私。


「我が家からの融資分は2年契約で利息付きで返すということになっていますが、そちらは今どうなっているのでしょう?」


安田社長の汗が止まらなくなってきた。


理穂さんたちとは和解したけどビジネスは別話。


ちゃんと了解も得てるし、理穂さんたちはしっかり働いているしね。


「そちらの件は後ほど、浅井取締役とご相談の予定で……。」


「あら、それは本日と父から伺っておりますの。………それとも私では不服なのかしら?」


一瞬で笑顔を消し、声の調子を低くする。


ユリたちに怖いって言われてるから威嚇できてるはず………。


「め、滅相もない………!そんなことはございません!」


妻は浪費家で、今もこの場を少し離れて男性たちと飲んでいる。


「そう?じゃあ私はこれで失礼するわ。………浅井家の代表者として正式に来た私の扱いは何とかするべきでしょうね。」


最後に少し笑って、社長から足早に立ち去った。


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