お嬢様の秘密III
「...ユリ、会長のご提案なの。」


「お祖父様の...。」


本格的にそういう社交の場に出ていく時期が来たってことなのかな...。


お姉様や夏菜みたいに私は見目がいいわけじゃない。


私なんかが表に出てお祖父様たちに悪い影響が出てしまわないか...


そんな不安が一気にこみあげてきた。


「ユリ、一度会いに行ってみましょう、この件を抜きにしても。奈々子様のアルバムの件以来会っていないのでしょう?」


お姉様は暗い表情の私を気遣うように私の手をそっと握った。


「そうしてみます、お姉様。夏菜、夏菜もこの招待状来てる?」


「実家から何も連絡がないから来てないと思うわ。真理亜様、このパーティーって執事同伴大丈夫でしたよね?」


「ええ。ただ、秋本家の場合、桜井家はただの執事じゃなくて資産家であり実業家だから招待状が必要かもしれないわね...。莉依紗様の執事の国松さんならいいと思うわよ。」


そんな細かく...。


もうちょっとそういうことに関して勉強しなきゃいけないのかも。


招待状眺めていた私を置いて夏菜とお姉様はなにやら話し始めてしまった。


今の話と関係ないこと話していそうだけどなんだかおいて行かれた気分...。


楽しそうに話している夏菜たちを見ている私に理央が近づいてきた。


「ユリ様、話しているうちに、学園集会は終わった模様です。誕生日パーティーの会場の飾りつけも順調であると玲央から連絡が入りました。料理の準備もできております。

服装は制服でよろしいのですよね?」


「ええ。大丈夫です。一般生も特別生もみんなが参加できるものにしたいですから。」


「では参りましょう。みなさんお待ちのようですよ。」


私は小さくうなずくと、理央は夏菜とお姉様に声をかけ、移動することにした。
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