お嬢様の秘密III
-真理亜side-


とりあえずお祖父様から託されたパーティーの件を早く伝えることができて良かったわ。


こういうときにSランクの特権で特別教室を使えるのは便利。


ちなみに集会とかちょっとしたことなら参加しなくてもいいことになっている。


前行ったことあるんだけど私の周りに人が群がりすぎちゃって、この学園ではすごーく影の薄い校長先生が私に直々に『参加なされませぬよう...』とおっしゃってきて。


以来参加していない。


「お姉様、そろそろ教室に戻りましょう。」


いつの間にか部屋を出てしまっていたユリに驚き、慌てて追いかけた。






私たちがいた特別室はちょっと離れたところにある。


普通の教室に近づくにつれて他の生徒が多くなってきた。


すれ違う生徒は私たちを見て会釈し廊下の端に寄っていく。


私はこれを言わずとも初等部からやられているので慣れたものだけど、ユリは少しそわそわしている様子だ。


「お姉様とご一緒だと生徒が次々と寄っていくから...モーセの十戒みたい...。」


「おおげさよ、ユリ。ユリこそ頭を下げられる立場にあるんだからなれたほうが良いわよ。」


「そうは言ってもね、お姉様……。」


夏菜さんからユリは学校でいじめられて育ったと聞いたけどそれが原因なのかしらね?


「お嬢様、教室に到着いたしました。」



ーパーン 



……ん?何の音?




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