“Please don't disappear, love.”
唯一、癒される時間は、わずかな家族団欒の時。



成績が良ければ、皆から褒めてもらえる。



頭を撫でてもらえる。



――ただ、それだけが嬉しくて、勉強を頑張っていた。



高校生になった今もそう、褒められたい。



ただ成長すると共に変わった思いは、撫でてもらうよりも、自分の存在を認めてもらいたい。



……その一心で頑張っているんだよ。



「……実は俺もそう。ウチなんて、愛人な子供だから、父親なんか知らないし、母親一人だったから、家に帰っても誰も居ない鍵っ子…」



「鍵っ子って何!?」



「家に帰っても誰も待ってなくて、自分で鍵を開けて入る子供…」



―――先生が、空を見上げて言った事は、私よりも重い事実。



先生の事、何も知らなかった。



国立大在籍と名前と年齢しか……。




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