“Please don't disappear, love.”
秋の入り口。
――初めてのデートの別れ際、先生の手をギュッて握り締めて、勇気を出して言ったんだ。



『先生が好きっ』って……。



先生は、ちょっと困った顔をして、『もうちょっと待ってて…』と答えて、おでこにキスをくれた。



――それから、二ヶ月ちょっとが過ぎた。



相変わらず、週一回、夕方になると訪れる。



電話をする訳でもなく、メールをする訳でもなく……。



それ以前に連絡先を聞いても教えて貰えない。



手を繋いでデートした話題もうまく交わされて、今では何事もなかったかのよう―――……



「先生、久しぶりにまたお願いテストやろーよ?」



「変なテスト名つけるなよ…嫌だよ…」



「ねーねーっ、やろーよ?」



「今度こそ、無理難題押し付けられそうだから嫌だ」



……またデートに誘おうと思っただけなのにな…。



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