春の夜
『そうか…。
人間は俺たちのことを知らないんだったな。
俺たちは獣だ。だが人間がいる世界の獣とは違い、人間のような見た目にもなれる。
この世界には5つの国があり、5種類の獣がそれぞれの国に住んでいるんだ。
この国は白ノ国と言ってな、狼の国だ。白ノ国の住人はほとんどが白、又は銀の髪を持つ。
俺は銀髪、ユキとルイは白髪だろう?』
「そ、そういえば…」
まるでファンタジー小説のようで、話の半分くらいしか理解できない私。
『まあ、今は理解できなくていい。またそのうち教えよう。
突然ここに来たということは、住む場所がないだろう?しばらくここで暮らすといい。』
「いいんですか?ありがとうございます!」
野宿も覚悟していたため、安心して笑顔がこぼれる
『ユキ、案内してやれ。』
「はぁ…本当は見知らぬ人を城に泊めるのは良くないんだけど。駄目って言っても聞かないんでしょ。
…ユメノちゃん、こっちだよ。おいで。」
ハルトさんに小さくお辞儀して、ユキさんと部屋を出た。