春の夜
歩き続けて早半日。
辺りが灰色になりかけた頃、私は森の入口にいた。
体はクタクタ、喉は渇いているし、お腹も空いた。
森に入れば食べ物になりそうな木の実や休めそうなところがあるかもしれない。
だけど、この時間から森に入るのは怖い。怖すぎる。
真っ暗な森で夜を過ごすのは嫌だし、熊や狼が出てきたらなんて考えただけで恐ろしい。
森の入口であれこれ考えていた夢花に1つの光が近づいてきた。
夢花の拳くらいのその光は、彼女の前で止まると
まるで導くかのようにゆっくりと森の中を戻っていく。
それまでぼーっとその光を眺めていた夢花は、ふと我に返り、その光について森の中を進んでいった。
確証はなく漠然とだが、その光について行けば大丈夫だと感じたのだ。