ただ、キミのことを好きでいたいだけ。
「な…なな……なに?」
「……漣ってさ、可愛いね」
「へっ!?」
突然の褒め言葉に戸惑う私を置いて、駿河はスタスタと帰ってしまった。
か、からかわれた?
な、なんだったんだ……?
ご察しの通り、私は男子の免疫がまるでない。
小さい頃から武術に打ち込んできて、あまり交友の幅を広げることに努力しなかった。
友達はいないわけではないけど、男友達なんてものはいない。
それに_____私はまだ、人を好きになったことがない。
___________恋を、したことがなかった。