怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
そしてエントランスでのキョロキョロとする確認作業も今日ばかりは緊張よりも楽しく感じる。
メールは
美祈が先に送ったり
瑛太が先に送ったり
夜も眠る前まで何度となく繰り返され、それは瑛太が戻る日の夕方まで続いた。
羽田に着いた。
夜にはカニも届くから今夜一緒に食おう。
今度は俺の親友と一緒だ。
シェアして住んでるって言ったよな?
もちろんOKだよな?
美祈は仕事が終わり帰宅する途中でこのメールを読んだ。
慌ててマコへ電話を入れる。
「マコどうしよう」
「どうした」
「もじゃ男さんの友達と一緒に夕飯食べようって誘われた」
電話口のマコはクスクス笑い
「嫌なの?」
「緊張する」
「緊張するけど話したい?」
「笑わないでよ?実はさ… 」
瑛太が北陸へ行き不在の間、メールのやりとりをしていた事
それが楽しく感じた事を正直に話した。
「美祈、それはきっと恋なんだよ」
「そうなのかな。すごいドキドキってわけじゃないんだよ」
「それはこれからじゃない?まずは一歩踏み出してごらんよ」
「勘違いだったら?」
「笑えばいいだけの話。瑛太さんも笑ってすませるよ」
笑えばいいだけの話か。
一歩踏み出すチャンス。
よしっ美祈は夕食を一緒にする事を決心した。