怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


時刻は19時


ドアを開けると


「おぅお帰り」


柊哉の声が聞こえてきた。

「カニがちょうど届いた」

柊哉が玄関まで来たのは瑛太の出迎えではなくカニの受取り。



そして、その姿を見ると

「お前…その大量の土産は何だ?」

うるせぇとばかりに柊哉の横を通りすぎ家の中へ入ると冷蔵庫からビールを取り出した。



ゴクッとビールを流し込んだあと


「座敷童への土産」


その一言を発した時、柊哉は怪訝な顔を見せた。

「北陸にいる間、ずっとメールしてた。俺おかしいよな?土産は何がいいか聞いゃってんだよ」


まくしたてるように柊哉に話す。



「寝ても、何かしてても、座敷童がチラつくんだよ。これは呪いか?」


瑛太が真剣であればあるほど柊哉は可笑しくて堪らない。





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