怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
こんなに思いが溢れているとは、柊哉もまったく気づかなかった。
いや、あの絵文字メールはそういう事か。
「二人はいつの間にそんなに進展したんだ?」
意地悪い質問を投げかける柊哉。
「し…進展っておい柊ちゃんっ」
何を慌ててんだよ。
さっき認めたじゃねぇか。
そこあんまり否定すると取り返しがつかねぇぞ。
「そうなの?俺はてっきり…」
意外なほど煮え切らない瑛太の尻を叩いた。
ほら見ろ、芹沢は下を向き始めたぞ。
「瑛太」
催促するよう名前を呼ぶと
「お…おぅ。確かに俺は座敷童さんがスキなようだ」
座敷童さんってさん付かよと笑いたいのを柊哉はグッと堪えた。
こっちはもっと大変だ。
瑛太が言った勢いで言わせないと言わねぇぞ。
「芹沢、お前は?」
顔を赤くして俯きそうになるのを柊哉は逃がさない。
自分の気持ちを相手に伝えていいんだよ。
少しずつ顔をあげる美祈と目が合うとコクリと頷いて 言ってごらんと促した。
「わ…私ですか…よくわかんないんですけど…だけど…やっぱりスキなんだと思います」
よし、よく言えた偉いぞ
まるで兄か何かのように誉めてやりたい気分だ。
だがな。
他の人が見たらすぐわかるわ。
解り過ぎるぐらいわかるわ。