怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
やれやれ、何で俺が告白させてんだよ。
その先はもう黙って2人の観察タイム。
「お…そ…そうか。じゃあ付き合うか」
「あ…はい。よろしくお願いします」
いい大人が向かい合って畏まって
瑛太は汗を流し美祈は顔を赤くして――。
じゃあ付き合うか。
よろしくお願いしますって何だよ。
確か昔のお前って『俺の女になるか』
クールにそう言ってたよな。
あぁ微笑ましいような羨ましいような。
気を利かせて柊哉が自分の部屋へ入ろうと立ち上がった。
「おいっどこ行くんだよ」
瑛太…その縋るような目は何だ。
ついに堪えていた笑いが爆発した。
「瑛太、お前いくつだよ」
「29」
「お前の今の姿は13ぐらいか?」
先に笑いだしたのは美祈だ。
美祈が笑い出すと安心したかのように瑛太も笑いいつもの調子を取り戻す。
「芹沢、そのまんまのお前はずっといい」
それだけ言うと部屋に入った柊哉を美祈と瑛太は目で追った。