怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


「ずっといいって言ってくれました」

嬉しそうに笑ってから

私だって可愛いって言われたいし可愛くしたい。

お洒落もしたいし、人よりちょっと目立つこともしてみたい。

それは女の子なら普通の要求で、可愛くして恋人とか欲しいじゃないですか。

真剣に語る姿を瑛太は微笑ましく感じながら聞いていた。



「だいたいにして未だ男の人と付き合った事もなかったんですよ。非常警報が鳴りっぱなしでしたよ」

「まじ?って…大学の時も少しもダメだった?」

「個人的に誘われたり連絡先聞かれたりするとナーバスになっちゃって。断るにもまた何か言われたらって…マコが婚約者がいるって言ってくれてから私もそういうようになって、落ち着いたんですけど…婚約者がいる私を誰が誘いますか。あははは」



婚約者がいるという理由が良かったのか悪かったのか。

それでも当時は、それが最善の方法だったのかもしれない。


「会社に入ったらそういう理由はダメじゃないですか。すぐ辞めると思われても困るし」


これは、自分は誰かに誘われると自慢する話しでも上から目線の話でも何でもない。

これだけの美貌を持っていればそうなる事も不思議ではないが美祈の場合は、普通に連絡先を教えてと言われることも、じゃあ一緒に行く?と気軽に誘われる事もナーバスを導くほどのトラウマを抱えているという事だ。



それで座敷童かと改めて納得。

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