怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】



「23になるっていうのに男の人と付き合ったこともないし、誰とでも寝るって言われてた私は未だにバージンですよバージン」

ゲラゲラ笑う美祈の横で表情に困る瑛太。


「バージンって俺の前で連呼するな!」

「なんで」

それがわからない美祈。

「は…反応に困る」

「へ?」

そう答えてから美祈も気づいた。


瑛太にすっかり打ち解け心を許した美祈は、スキという気持ちが芽生えたばかり。


マコたちと同じように笑い話にしてしまった失態に今頃気づく。


彼氏が出来るというのは欲しいという気持ちとは遠くかけ離れていたので笑い話のひとつとなっていた。


「わ…忘れて」

「む…無理」

部屋の中まで聞こえてくる騒ぎに柊哉はクスクスと身体を震わせ笑っていた。



カチャカチャと音が聞こえ片づけを始めたようだ。

2人並んでキッチンとか立ってるって?


柊哉はもう揶揄いたくてたまらない。
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