怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


ドアを開けて出ると案の定2人で運んでいる最中。


「芹沢、いいよ俺やるから」

「大丈夫です。片づけますよ」

「おぅ。2人でやるから柊ちゃんはいいよ」


「いやっ。このキッチンは柊と瑛のものじゃない」


上司である課長の意外な面を見てジーッと見つめている美祈。


「お前な…こいつの前でやると本気にされるぞ」

一瞬まさかと美祈の顔を見た柊哉。


「あははは。本気にするわけないじゃないですか。でも会社と全然違うからちょっとびっくりしました」

「これは俺の秘密だ」


パチンと上手にウィンクすると柊哉はお邪魔しましたとまた部屋へと戻って行った。



「何しに来たんだ?」

「ヤキモチですよ」

「俺、愛されてんだな」

「嫉妬の炎メラメラでした」


クスクス笑いながら食器を洗いはじめる。


「2股になるけどいいか?」

「ライバルの部下って虐められ役だわ」

意外なほどに上手に返す言葉遊び。




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