怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
エントランスを通りぬけながら
「芹沢、習慣でやってたかな?」
時期にその姿を垣間見る事がなくなるな。
朝も、俺より後になるかもな。
喜ばしい事の中にある微妙な淋しさ
会社につくと
「おはようございます」
雑巾で机を拭きながら美祈からの挨拶の言葉。
「おはよう」
変わらずにいてくれる事がこれまた微妙に嬉しい。
「朝はあれだ。あのキョロキョロ怪しいのやったか」
デスクのトレイに手を伸ばしながらにやつき顔の柊哉の問いかけ。
「身に着いた習慣って怖いですよね。気づいてやめると罪悪感っていうか不安感っていうか」
美祈の話に頬を緩めながらトントンとデスクの上の書類を整える。
「一時期なんて警戒するのが2人じゃないですか」
その言葉によって想像するのがあまりにも容易くさらに口元は緩みはじめ
それを隠すように
「なんで瑛太まで警戒してた?」
「だって、はっきりと物事を聞く人でしょ。その怪しい行動は何でだって追求されたら逃げられそうもないんだもの」
「だな」
「それなのにお二人は知ってたとかって酷すぎですよ」
美祈が言い終わるとどちらともなく笑いだす。