怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「ただいま。今夜はカレーか」
帰宅してきた人間の声がするのは5階の住人。
「下はマッサマンだとよ」
下とは何か柊哉ならばすぐわかる。
「カレーといえばビーフカレーだよな」
「そう?じゃあ柊ちゃんはこれだけ食えよ」
瑛太の笑いでマッサマンが届くことも柊哉は察知。
「いや、マッサマンも捨てがたい」
「何に入れて持っていくもの?」
「鍋じゃねぇか?」
シンクの下から取り出した小さい片手鍋。
「蓋がねぇぞ」
「もともとなかったよな?」
「えぇい面倒くせぇ」
スマホを取り出し美祈に電話。
「はーい」
「カレー持って集合」
一方的に言ってプチッと終話。
「出来る男は違うな」
「おぅよ」
お皿に盛ったカレーの前で待つ事数分。
ピンポーン♪
出迎えたのは、当然瑛太。
大きなトレイを両手で持った美祈の到着。