怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
「あれだからな。瑛太、お前が不在でも決行だから」
「まじか」
「当然です」
瑛太のビーフカレーをスプーンでパクッ
予想よりはるかに美味しいビーフカレー。
得意料理は何かと言い合ったり
最悪な結果になったものは何かと言い合ったり
朝食はパンだごはんだシリアルだとすっかり美祈も溶け込んだ。
「お前、馴染むの早すぎ」
「あははは」
「会社とは別人だ」
美祈だってそんな自分に驚いている。
男の人2人の部屋で一緒に食事をしているなんて…。
「俺たちは、絶滅危惧種保護委員会なんだよ。姿がないと淋しいもんだ」
「絶滅危惧種?」
「座敷童だ」
「あぁ。あっちの方が知り合って長いですしね」
そのままの自分を何でもないように扱ってくれて
それが美祈にとって何よりも嬉しくて
恥ずかしさもあった通勤スタイルをこんなにも可愛がってくれて
本当に優しい人たちだと思った。