怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
だがそれを嬉しく思うのは、美祈の抱えた過去があるから。
まわりにいる人のほとんどが柊哉や瑛太と同じように普通に美祈を受入れるはず。
人と違う事、個々の持つ個性、特徴、性格、そして容姿。
合う合わないと内心はどうあれ協調して生活していく事を知っている。
仕事関係や日常において協調性こそ重要視される。
友人関係がメインでもあるような思春期。
起こり得ぬ事が起こる年代。
妬みや嫉妬は大人にも存在し、それはあの頃とはまた違ったものになってはいるが集団や噂で行動するような浅はかな人間こそが軽蔑視されているはず。
それを今、自分で経験し感じ、歩きだせるまでえてきた親友たちに
絶滅危惧種の保護と笑いながら手助けをする大人の男たちも加わった。
美祈がトラウマから逃れられるまであと少し。
きっとあと少しなんだと思う。