怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
私たちよりずっと年上の綺麗な女性。
おそらくもじゃ男や課長と同じ歳ぐらいだと思う。
「おぅ、果歩久しぶりだな」
お邪魔しては悪いかとマコを顔を見合わせ先に歩き出そうとしていると
「二人で住んでんでしょ?行っていい?」
すぐにもじゃ男と課長が私たちの顔を見た。
私たちは部屋で食べるから3人でお話ししてって言ったけど
せっかくの週末だし買い物もしてきたからと一緒に食べる事に決定している。
家に向かって歩き出すと果歩さんの話しから今日はたまたまここへ来たという事がわかった。
エレベーターで買い物の物々交換をして私たちは3階で降り3人は5階へとあがっていった。
「嫌な感じ」
カギをあけているとマコが呟いた。
「久しぶりだから3人で食べればいいのにね」
「そんな事じゃないわよ」
「何?」
邪魔にならないよう少し下がって俯いていた私にはわからなかったが私たちの事をまるで視界にも入れずもじゃ男に触れていたというのだ。
「話しながらポンッって感じでしょ」
「違うから。腕組もうとしてたから。普通さ空気読まない?私たちが一緒に食事をするって事は明らかでしょ」
「そう?食事しない時でも会えば持ってくれるじゃない」
「それは親しいからでしょ。あたしなら今度ゆっくり話したいから近いうちに会いましょうって言ってその場を去るよ。行っていい?なんて言わない」
「まぁそうかな」
コタちゃんに置き換えて考えてみるとお邪魔してごめんねと声をかけてその場を去るかなとも思うがそれは会う機会がいくらでもあるからとも思える。
「何を言っても一緒に食べる事には決まったわけだし」
「あー嫌だ」
文句を言いながらも買い物をしながら決めたおかずを手分けして作り
出来上がると5階の部屋のベルをならした。