怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
ピンポン
「は~い」
出てきたのは果歩という人。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
「入って」
これは少々不愉快に思った。マコから、は?という小声が聞こえたから同じ気持ちなんだと思う。
でも私たちもこの家のものではない。
だから、仕方ないんだと思うことにした。
もじゃ男はキッチンにいたからいつもの通りに手伝おうとすると
「あ、お客様なんだからソファー座って待ってて」
私たちにそう言ってキッチンにいるもじゃ男の横へ立った。
「悪い」
課長が小声であやまってきた。
「あぁ大丈夫です」
「次、地雷踏んだら爆発するから」
課長を睨むマコをどうにか宥めてソファーに座った。
「瑛太、瑛太」
キッチンから甘えるような甘い声。
「お前、うるせぇよ」
もじゃ男は、そばへ来る果歩さんを遠ざけようとはしているみたいだけど
「何か懐かしい」
そう言って立っているもじゃ男の背中に抱き付いた。
「お前、まじでやめろって」
「冗談なんだから怒らないでよ」
クスクスと笑っているけど、挑発されているように思うのは、私がやきもちをやいているからだと思う。