怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】



ものすごい大げさなほどもじゃ男が溜息をつき


「今日話したのって思い出話しだけだろ?何回会っても俺らには思い出話ししかない。何回も会って聞くほどの想い出ももうねぇよ」


「そう?瑛太の知らない話しとかいっぱいあるよ」


「別に聞きたいとも思わねぇな。柊ちゃんと俺の会話に出てくる程度で十分だわ」


「柊、瑛太冷たくない?あんなに仲良かったのにだよ。柊は聞きたいよね」


「いや、瑛太と同意見。あの頃とはもう違う。懐かしかったなで終わる」


「思い出は思い出のままがいってこと」


「瑛太~またそういう意地悪言う。思い出でしかないっていうけど連絡はしてたよね」


「会う気がありゃ会ってただろ」


課長が言った言葉に少し怒った感じで


「会ってないと思ってる?」



その問いかけは私にだった。


会ってないと思ってるかって

そもそも果歩さんの存在も知らなかった。


たぶん瑛太さんなら大学の時の友だちに会ってくるって言ってくれるんじゃないかと思う。


だけど女友だちだと言わないかな。


いや、絶対に言うと思う。


会う事が決まったら会ってくるけど心配するな。


友だちだからって会う用件を聞かなくても言ってくれるだろう。





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