怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


そして週末がやってくると


「おいッなんでお前がここにいるんだよ」



ソファーに寝転がりテレビを見ているマコに定番化している柊哉のこのセリフ。マコという呼び名からすっかりロッキーに様変わり。




「美祈のとこにいたらもじゃ男が座敷王子が暇してるから行ってやれって頼まれた」


「暇してねぇよ」


「あたしも暇じゃないのよ。必死に余暇を楽しんでるのよ」



すっかり寛ぎ、お前の実家かって態度。


これが自分の女だったら興ざめとか、何だその格好とか腹も立つんだがロッキーはふらりとやってくる犬ぐらいな感覚かも。



寝転がりながら隣に座る俺の口にイチゴ味のポッキーを入れる。


タイミングの取り方は実に上手い。



「お茶飲む?」


「あぁ」


やっぱここは、お前の家かよ



慣れたもんでキッチンに行くと素手で湯呑を2つ持って戻ってくる。


「はい」


「おぅ。ってお前お盆とか使わねぇのか」


「熱くないもん」



しかしこいつが入れたお茶は微妙に美味い。


「銀行勤めで腕をあげたのはお茶入れぐらい?」


心のうちを読んだようにテレビを見たまま応えてくる。



ズズッとお茶を飲みコトンッとテーブルに置くと


さも当然のように俺の膝に頭を乗せて寝転がる。




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