怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
そうと決まれば食事なんかさっさと片づけてって考えはみんな一緒。
倍速で片づけまで完了させて
俺と瑛太はノートパソコンを持ち出し
どこに何があるかいつの間にか把握してるロッキー犬は普通にタブレットを手にし芹沢とあれこれ相談中。
和室だの洋室だの露天があるだのないだのこういう盛り上がりって久々かも。
瑛太もスタジオでの撮影だけで泊りもない。
無理かと思ったが来週の予約完了。
こうして温泉での合同誕生会とは名ばかりの旅行が決定した。
瑛太と美祈が近くの観光地を調べている間柊哉の隣ではマコが小声で
「部屋さ、あたしとになるよ」
「あははは。犬は泊まれるのかよ」
「ペット可らしい」
普通に会話してしまう自覚のない男をやめているもの1名
自覚あって女をやめているもの1名
「ねぇ22歳の女の子と泊まるのよ。ドキドキとか、えっ嫁入り前の女の子となんてとか何かそういうセリフないの」
「それお前だろうが、あたしとだよなんて平気で言うのもどうかと思うぞ」
「誕生日を迎える男と女よ性別捨ててなきゃ一晩中、猿だよ猿」
「温泉に疲れに行くようなもんだな」
あの二人と違ってあたし達は敬老会だわなんて言いながらも温泉入って泊まれるならどこでもいい的感覚の2人。
そしてチャンス到来と下心ありありの瑛太と当然マコと一緒の部屋だと思っている美祈だった。
当日、部屋へ入るまで何も言わないのも暗黙の了解。
「こっちは『誕生日部屋』とでも言えばいいわよ」
「ほんと賢い犬だ」
「犬でもバカより賢い方がいいわよね?」
「当然だろ」
座敷王子とふらりとやってくるロッキー犬。
この両者の息の合い方もそれなりに。