怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
乳液をつけ終わると
「あ…アイス食べたいな」
食後のデザートはアイスだ。
念の為冷蔵庫の中を覗くと残念ながらアイスの姿は見えない。
コンビニまではマンションの前から3分ぐらい。
「よし買いに行こう」
即決出来る距離だ。
カギとお財布を持ってエレベーターを降りエントランスへ向かうと今朝のヒゲもじゃの男が入ってきた。
とっさに壁に張りつくのは、朝の再現を繰り返したくないから。
ヒーーーッと姿を消すかのように息を止めるのは気づいて欲しくないから。
チラッとこちらを見て無言のまま頭を小さく下げると通り過ぎて行った。
安心して足を進めながらエントランスのガラスにうつる自分の姿が見えた。
「あ…わかるわけなかった」
ホッとしてコンビニまでアイスを求めて歩いた。