怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
瑛太の腕の中で目覚めた美祈は、一瞬驚いたがすぐに夕べの事を思い出す。
何も身に着けぬまま眠っていた事に頭がはっきりとしてくるとどうしようかと悩みだす。
フッ
笑う声が聞こえ見上げると瑛太もお目覚め
「どうしようか必死に考えてただろ」
「だ…だって」
「ダメ。離さない」
素肌で抱きしめられるのは恥ずかしいけれど心の中があったかくなるような穏やかな気分も生まれてくる。
美祈の髪にキスを落としながら絹糸のような柔かで艶のある髪を梳き
「身体、大丈夫か」
瑛太の問いかけに恥ずかしさが再び湧き上がる。
「言わないで…」
「ん…でも心配だから。最初ってしんどいって聞くから」
少し身体の向きを変えてみようと動くと
「あ…多少その…後遺症っていうか痕跡というか…」
出来る限り恥ずかしさのない言葉で冷静に説明をしようとしている事が瑛太には愛らしく
それに付き合うように
「腰痛とか大腿骨付近の倦怠感と痛みか」
「そ…そんな感じ」
美祈の身体に手を添えゆっくりと自分と同じ視線の高さまで美祈を引き上げると
「じゃあもう一泊してくか」
「いや。そこまでじゃないから」
「俺、ずっとこうしてたいけど」
「ダメです。無理です。恥ずかしすぎます」
どんどん赤くなっていく顔に鼻と鼻をくっつけ
「じゃあ、先に起きる?それとも後?」
着替えすら見られたくないだろうと瑛太からの提案。