怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


瑛太がわかったとテーブルを叩き、男と女として意識したら眠れなかったって事かと笑い出した。


「お経を唱えたくなるほど本能と煩悩が一晩中渦巻いてたわ」


「互いに理性のある人間である事を誇りに思う」



棒読みのような会話に美祈もクスクスと笑い出す。


二人同時に顔を上げるとチラッと美祈の顔を見て



「お幸せそうで」


「まったくだ」


柊哉の持ってきた漬物にマコが手を伸ばし


マコの持ってきた白和えを柊哉が摘まむ


お互いそれに無関心、無反応



瑛太と美祈も


「お幸せそうで」


「まったくです」



「どこが」


「まったくよ」


そんな柊哉とマコが可笑しくて仕方なかった。






朝食が終わると帰りは柊哉の運転でマコが助手席


後部座席は瑛太と美祈


道すがら少しだけ観光をして高速に上がると寄り添うように眠る二人をバッグミラー越しに見て


「瑛太にメガネかけさせなきゃ」


「ウィッグも処分しなきゃ」


前の席は大笑いだった。






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