怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】


翌日、朝からちょっと緊張。


それでも、これでいつも出かけていると旅行中の写真を眺める。



エントランスには、柊哉と瑛太。


「もう見慣れたな」


「座敷童も可愛いんだけどな」


「柊ちゃん、それ俺らだけだよ」


笑いながら柊哉と出勤。



「頑張れ!」


もう迎えに行くとも逃げてこいとも言わない。


それは、大丈夫と瑛太も思っているから。




「1週間だな。長くて1週間で慣れるよ」


「そうですよね」


「早い人は帰る頃には見慣れてる」


「はい」


自分自身も座敷童スタイルと呼ばれるものになった時、鏡を見ては驚いた。


それでもすぐに慣れその姿である事に安心した。



「目があったら芹沢からvサインして見せろよ」


「はい」



綺麗にアイロンでカールした髪。


マスクをしていてもその可愛さはありありとわかる。



最初にフロアに入って来た人が


「おっ!」


美祈を見るとすぐに驚きの声をあげ


美祈も言われた通りにvサイン


「やったね芹沢、勝利を手にしたってとこ?ツキが回って来たな」


「あれ、勝ったの?」


「勝ちました」


「おっ!どこの可愛い子かと思ったら芹沢か」


「勝ったらしいわよ」


「いいね~仕事がはかどるわ」

「きゃー芹沢さん勝ったの?ねぇ勝ったの?」


「勝ちました」


メガネを外した時に比べたらみんなもずっと反応が軽い。


それは、どうでもいいという事ではなく


勝ったらウィッグを外すという事を知っていた事、そしてヘアスタイルが変わるという事に対して免疫がついているからだ。



マスクの時には気づかない人もいるんじゃないかと思える。


かけてない人がかけると


「風邪?」と思うが


外した時は何とも思わない。


おそらくそんな感じで自然と慣れていくように思う。






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