怪しい羊と迷えるオオカミ'S【完】
カーラーが巻かれはじめホステスにでもさせる気かいってちょっと心配。
だけど出来上がった髪型は
「女優みたい」
言った自分が大爆笑するほど完璧過ぎた。
「氷室さん出来ました」
そういやもじゃ男は氷室瑛太っていう名前だったな。
入ってきたもじゃ男はあたしを見るとニヤッと笑い
「マコ、いい女じゃん」
「今頃気づいた?」
言い返しながらも口元が緩んで仕方ない。
もじゃ男にエスコートされて下の階に行くとそこはスタジオ。
「誕生日に綺麗に写真撮ってやるよ」
「まじ?あたしモデル?」
「あぁ。別人にしてやるよ」
「惚れそう」
「俺は美祈の男だ」
「本気にするなッ」
笑いながら言われるまま配置されているセットの椅子に座った。
ライトを浴びながら足を組めだの斜めを見ろだの笑えっていうから笑うと笑い過ぎだの言われながら
それでも、のせられるままにノリまくり
「マコ綺麗だねぇ」
「マコそのまま。たまんねぇな」
「こっちだ。ここで微笑め。そうだ。いい女だ」
褒めちぎるだけ褒めちぎられてすっかり上機嫌なあたし。
もじゃ男がそばに歩いてくるとそっと肩に手をおきあたしを見つめた。
「いいかマコ。美祈にはもう俺がいる。だからお前は自分が女である事を最大限に楽しめ。すげぇ武器をいっぱい持ってんじゃねぇか。ここで疲れてんじゃねぇぞ。いつまでもココんとこに眠らせておくなよ」
そう言って人差し指であたしの胸をトンッ
「あ!胸触った」
「胸だったか?ちっともわかんなかった」
颯爽とカメラに戻ると
「あたしの一番いい顔!そう思ってこっち向け」
もじゃ男に言われるままにカメラを向いた。
シャッター音が響くのが心地よくも感じた。
ニヤッと笑いながら
「写真はあとでやるからデジカメで撮ったのだけ先にやるな」
もじゃ男はせっかくセットした髪なのにくしゃって撫でた。